瓦のずれは危険?原因・放置リスク・修理費用まで徹底解説
2025/10/30
「屋根の上の瓦が少しずれている気がするけど、このくらいなら大丈夫かな?」
そう思ってそのまま放置してしまうと、思わぬ雨漏り被害に発展することがあります。
瓦のずれは見た目では小さなトラブルに見えても、その奥では屋根全体の防水機能が弱まり、雨水がじわじわと建物内部へ侵入していることも少なくないのです。
この記事では、
・瓦がずれる原因
・放置によるリスクと二次被害
・適切な対処法と修理タイミング
・瓦屋根を守るための予防策
について、滋賀県の気候特性もふまえながら丁寧に解説していきます。
瓦がずれるのはなぜ?考えられる主な原因

瓦屋根は、日本の風土に合わせて進化してきた、非常に優れた建材です。
遮音性・断熱性・耐久性に優れ、適切なメンテナンスをすれば数十年単位で使用できるのが特徴です。
しかし、いくら丈夫な瓦であっても、経年劣化や自然災害、施工の不備などの影響によって、少しずつズレが生じてくることがあります。
瓦がずれる原因は複合的なケースも多く、放置すると雨漏りや構造劣化につながることも。
ここでは、特に多く見られる原因について、詳しく解説していきます。
経年劣化による下地のゆるみ
瓦は頑丈でも、それを支える「下地材」や「固定部材」は年月とともに劣化していきます。
たとえば、瓦を支えている桟木(さんぎ)と呼ばれる細長い木材が、湿気やシロアリの影響で弱ってくると、釘やビスが抜けやすくなり、瓦が不安定な状態に。
また、防水シート(ルーフィング)や野地板の劣化が進むことで、屋根全体が少しずつ沈んでしまい、それが瓦のズレを誘発するケースもあります。
特に築20年を超える瓦屋根では、下地の老朽化が原因で瓦が動きやすくなる傾向が見られます。
台風や強風の影響
滋賀県を含む近畿地方では、毎年のように台風が接近・上陸します。
その際に発生する突風や強風が、瓦を直接的に動かす大きな要因となります。
風によって瓦が浮き上がったり、重なりがずれたり、端の瓦が外れてしまうことがあり、屋根の隙間から雨が入り込みやすい状態になります。
また、強風だけでなく「飛来物の衝突」によって瓦が動くこともあります。
周囲の木の枝やトタン片などが風に煽られてぶつかり、部分的に瓦が外れたり角度が変わったりするケースもあるのです。
瓦のずれは一部だけで済まず、ズレが連鎖的に広がることもあるため、台風の後は早めの点検が重要です。
地震による振動の積み重ね
意外と見逃されがちなのが、地震による微細なズレです。
大きな揺れで一気に瓦が崩れるようなケースは少ないかもしれませんが、小さな地震が何度も繰り返されることで、徐々にズレが拡大することがあります。
特に、築年数が古くて耐震施工がされていない住宅では、
地震のたびに瓦が微妙に動き、その隙間から雨水が侵入してしまうというリスクも。
また、瓦がずれることで屋根の重心バランスが崩れ、今後の揺れに対してさらに弱くなるという悪循環も引き起こしかねません。
滋賀県は地震が少ない印象があるかもしれませんが、南海トラフ地震などの広域災害が想定されている地域でもあるため、日ごろからの備えが求められます。
設計・施工上の問題
新築時やリフォーム時の施工不良が原因で瓦がずれやすい状態になっているケースもあります。
たとえば、瓦同士の重なり代が浅すぎたり、固定用の釘が不十分だったりすると、強風や地震の影響を受けやすくなります。
また、屋根の勾配(傾斜角度)が急だったり、谷部や寄棟など複雑な構造の屋根では、水の流れが集中しやすく、それだけ瓦にも負荷がかかるため、ズレやすい傾向があります。
近年ではコストを抑えた簡易施工や、経験の浅い職人による工事も増えており、数年で不具合が発生するようなケースも散見されます。
このような場合には、部分的な補修では解決できず、全面的な施工のやり直しが必要になることもあるのです。
放置は厳禁!瓦のずれがもたらすリスクとは

「たった一枚くらいなら大丈夫」
そんなふうに思ってしまう方も少なくありません。
けれど、瓦のズレは雨漏りや構造劣化の引き金になる重大なサインなのです。
屋根というのは、ただ上から覆っているだけではなく、雨水を適切に流す「排水構造」として設計されているもの。
その中で瓦がズレると、雨水の流れが乱れ、思わぬ方向に水がまわり込んでしまうことがあります。
その結果、屋根の内部へと水が入り込み、建物に深刻なダメージを与えるリスクがあるのです。
ここでは、瓦のズレを放置した場合に起こりうる主な被害について詳しく解説します。
雨水の侵入による雨漏り被害
瓦が数センチでもズレていると、そこに雨水が流れ込むようになります。
本来は瓦同士が重なり合い、水の侵入を防いでいるのですが、ズレによって隙間ができると、雨水がそのまま下層へと落ちてしまうのです。
その下にある「防水シート(ルーフィング)」が健在であれば一時的には守られますが、繰り返し雨水を受け続けることで、防水層も少しずつ劣化。
やがてシートを突き破るように水が浸透し、天井や壁へと雨染み・雨漏りが広がっていくようになります。
滋賀県のように雨の多い地域では、一度の雨漏りでも被害が急速に進行するため、「まだ大丈夫かな」と様子見するのは非常に危険です。
木部や断熱材の腐食・カビの発生
雨漏りによって水が屋根裏に侵入すると、構造部分の木材にまで影響が及びます。
とくに被害を受けやすいのが、野地板(のじいた)・垂木(たるき)・梁(はり)などの木部です。
これらは住宅の骨格にあたる重要な部分であり、水分が入り込んで腐食やシロアリの原因になると、屋根全体の強度が著しく低下してしまいます。
また、屋根裏に設置されている断熱材にも水分が染み込みやすく、カビの温床になることも。
室内にカビ臭が漂いはじめたり、アレルギー症状を引き起こす可能性も否定できません。
とくに小さなお子さんや高齢のご家族がいるご家庭では、こうした健康面へのリスクにも注意が必要です。
電気設備のショートや火災の危険性
あまり知られていないリスクの一つが、漏電や火災の危険です。
屋根裏や壁内部には電気配線が通っており、雨水がこれらに接触するとショートを引き起こす可能性があります。
たとえば、天井照明の周囲から水が染み出した場合、配線や電源部に直接水がかかることになり、発煙・発火の原因となるのです。
実際に、雨漏りを放置したことによる電気火災の事故も報告されており、「雨漏り=水の問題」と軽く見ていると大きなリスクを招くことになります。
住宅全体の資産価値が下がる可能性も
瓦のズレによる雨漏り被害が進行していくと、結果として住宅全体の傷みが進み、「資産価値」にも影響が出てきます。
たとえば、雨染みが残った天井や壁、カビ臭のある室内では、将来的に売却や賃貸を考えた際にもマイナス評価が避けられません。
定期的に点検・補修されている住宅とそうでない住宅では、外観だけでなく見えない部分の評価も大きく差がついてしまうのです。
    
瓦のずれに気づいたらどうすればいい?

「もしかして、屋根の瓦がズレているかも?」
そんなふうに感じても、屋根の上は自分ではなかなか確認できないものです。
実際、多くの方が「見えないから不安だけど、どうすればいいかわからない」と悩まれています。
しかし、放置してしまうと雨漏りや構造の劣化につながるおそれも。
気づいたときの行動が、家を守る大切な一歩になるのです。
では、どんなときに「瓦のズレ」を疑うべきなのでしょうか?
こんな症状があれば、屋根のトラブルかもしれません
・台風や強風のあと、屋根の一角が歪んで見える
・瓦の破片や釘、落ち葉が屋根から落ちてくる
・雨が続いた後に天井にシミやカビ臭がする
・少し離れた場所から屋根を見たとき、表面に波打ちや凹凸がある
こうした症状は、瓦のズレや破損の兆候かもしれません。
特に、台風・豪雨・地震のあとには、目に見えない部分で瓦が動いていることも多くあります。
少しでも異変に気づいたときは、「そのうち見てもらおう」と先延ばしにせず、できるだけ早く専門業者へ相談するようにしましょう。
自己判断で登るのは非常に危険です
「ちょっとハシゴをかけて、自分で見てみようかな…」
そう考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、屋根の上は思った以上に滑りやすく、転落事故が多く発生している場所です。
とくに瓦屋根は傾斜があるうえ、瓦自体も動きやすくなっているため、知識や装備なしで登るのは非常に危険です。
また、むやみに上がることで、瓦をさらに割ってしまったり、下地を傷つけてしまうリスクもあります。
そのため、屋根の異常を感じたら、まずはプロによる点検を受けることが最も安全で確実な対処法なのです。
瓦のずれを修理する方法とは?
「瓦がズレているかもしれない」と感じたとき、気になるのがその修理方法と費用感ではないでしょうか。
実際の修理方法は、ズレている瓦の枚数や範囲、屋根下地の状態によって異なります。
軽微な補修で済むこともあれば、屋根全体の工事が必要になるケースもあるのです。
ここでは、状態ごとに考えられる主な修理方法をご紹介します。
軽微なずれ・浮きで済んでいる場合
瓦のズレが1〜2枚程度で、屋根全体としては健全な状態であれば、既存の瓦をそのまま再配置して、釘や専用金具でしっかり固定し直すことで修理が可能です。
このような部分補修は比較的短時間で完了し、費用も抑えられる傾向にあります。
ただし、ズレた原因によっては防水シート(ルーフィング)の点検や補修も必要になる場合があります。
表面だけでなく、下地の状態まできちんと確認してもらうことが大切です。
複数の瓦にズレが見られる場合
瓦のズレが広範囲にわたっていたり、屋根面全体に歪みや浮きが見られるようなケースでは、単純な部分補修では対応しきれません。
このような場合、既存の瓦をすべて取り外してから、下地の補強・整備を行い、再び瓦を載せ直す「葺き直し工事」が必要になります。
瓦自体に破損や欠損があるときは、新品の瓦への差し替えも行います。
さらに、防水シートや野地板が傷んでいる場合は、葺き替え(全面交換)を検討することになります。
工事期間は屋根の大きさや形状にもよりますが、3日〜1週間程度が目安となるでしょう。
築年数が経っている場合は「カバー工法」も選択肢に
屋根の耐久性や防水性に不安がある場合、
瓦屋根を撤去せずにその上から軽量な金属屋根をかぶせる「カバー工法」を選ぶケースも増えています。
この工法は、解体や廃材処分の手間を抑えられるため、工期が比較的短く、費用も抑えられる場合があるのです。
特に築30年以上が経過しており、「これからも安心して住み続けたい」「耐震性や断熱性も高めたい」と考える方には、
将来を見据えたリフォームとして有効な手段となるでしょう。
ただし、屋根の形状や既存の構造によっては適用できないケースもあります。
そのため、まずは専門業者に診断を依頼し、どの工法が最適かを提案してもらうのが安心です。
瓦のずれ修理にかかる費用の目安と費用を抑えるポイント

「修理が必要なのはわかっているけれど、費用が心配…」
そんな不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
実際にかかる費用は、ズレの範囲や修理方法、屋根の状態によって大きく変わってきます。
ここでは、あくまで一般的な目安にはなりますが、主な修理パターンごとの費用感をご紹介します。
部分的な瓦のズレ修理(1〜数枚)
瓦のズレが少数に限られている場合、再固定や部分的な差し替えで済むケースが多く、工期も1日以内で完了することがほとんどです。
この場合の費用目安は、2万円〜5万円程度となることが一般的です。
ただし、足場が必要になるかどうかで金額が大きく変わるため、事前に確認しておきましょう。
屋根全体の「葺き直し」や「葺き替え」
瓦のズレが広範囲にわたっていたり、下地の劣化が進んでいる場合には、一度瓦をすべて外してから下地を補修し、瓦を再び敷き直す「葺き直し工事」や、瓦も含めてすべて新しくする「葺き替え工事」が必要になります。
この場合の費用は、屋根の面積や使用する瓦の種類によって変動しますが、60万円〜150万円程度が目安です。
特に南蛮漆喰の補修や、古い土葺き瓦から防災瓦への交換を伴う場合は、やや費用が高めになる傾向があります。
カバー工法を選んだ場合の費用感
瓦屋根の上から軽量金属屋根材を被せる「カバー工法」は、瓦屋根全体の撤去を省略できるため、解体・処分費がかからないというメリットがあります。
費用相場としては、70万円〜130万円前後で施工可能なケースが多いです。
ただし、既存の屋根の構造や傷み具合によっては、カバー工法が適用できないこともあるため、現地調査と診断が不可欠です。
火災保険や補助金制度が使える可能性も?
台風や突風、落下物などの自然災害が原因で瓦がズレた場合には、火災保険が適用されるケースもあります。
保険適用には「原因が自然災害であること」「証拠写真や見積書があること」などの条件が必要ですが、経験豊富な修理業者に相談すれば、保険申請のサポートを受けられることも多いのです。
また、滋賀県内では自治体によって屋根修理に使える助成制度がある地域もあります(※年度・市町村により異なります)。
事前に地元自治体や業者に確認してみるとよいでしょう。
    
費用を抑えるために大切なこと
費用を抑えたいからといって、「とにかく安い業者」を選ぶのは少し危険です。
というのも、安価な修理では下地の補修を省かれたり、必要な工程が抜けていることも少なくないからです。
結果的に再発してしまい、「安物買いの銭失い」になるリスクもあります。
重要なのは、価格と内容がきちんと見合っているかどうか。
信頼できる業者に相談し、複数プランを出してもらって比較することが、納得のいく修理につながるのです。
    
まとめ
瓦屋根はとても丈夫な構造ですが、それだけに「多少のズレなら大丈夫だろう」と油断されがちです。
しかし実際には、わずかなズレが雨水の侵入口となり、やがて深刻な雨漏りへとつながるケースが多くあります。
経年劣化・台風・地震・施工不良など、瓦がずれる原因はさまざまです。
だからこそ、屋根に異変を感じた時点で専門業者による点検を受けることが大切なのです。
滋賀県で瓦屋根の点検や補修をご検討中の方は、一級建築板金技能士が在籍する「METALISE(メタライズ)」へ、気軽にご相談ください。
現地調査から施工、アフターフォローまで丁寧に対応いたします。
お住まいの安全と快適さを守るために、小さな異変も見逃さず、早めの対処を心がけましょう。
Q&A
Q. 瓦のずれは本当に雨漏りの原因になるのですか?
A. はい、なる可能性が高いです。
特に瓦の重なり部分に隙間ができると、そこから雨水が侵入してしまうことがあります。
一見小さなズレでも、内部の防水層が劣化していれば雨漏りに直結することもあるので、油断は禁物です。
Q. 修理にはどれくらい費用がかかりますか?
A. ズレた瓦が1〜2枚程度であれば、数万円程度での補修が可能なこともあります。
ただし、屋根全体にゆがみや劣化が見られる場合は、葺き直しや葺き替えが必要になるケースもあり、その場合は数十万円以上かかる可能性もあるでしょう。
Q. 点検だけでもお願いできますか?
A. もちろん可能です。
業者によっては無料で現地調査を実施している場合もありますし、写真付きで丁寧に状態を説明してくれるところも多いです。
不安な点があれば、まずは気軽に相談してみるのが安心です。
 
                                















